- ブログ
UNAラボスタッフの裏側秘話シリーズ「津奈木町ってどんなところ?」
津奈木町は熊本県の南部にある、人口約4500人の町です。
町の東側が不知火海(しらぬいかい)に面していて、海の向こう側に見える島は天草。
海岸線沿いにドライブすると、穏やかな海面が輝き、柑橘畑の黄色と海の青のコントラストにいつも感激してしまいます。
そうこうしているうちに、橋の上に突然現れる金色の裸の銅像。青空を背景にキラキラ輝き、不思議な風景を作っています。
津奈木町は豊かな海と山に囲まれた町のあちこちに、「おや?」と思うような彫刻や絵画などのアート作品がある、そんなちょっと面白い場所なのです。一体なぜなのでしょうか・・・?
実は、津奈木町には、お隣の水俣市と同様、水俣病で苦しまれてきた歴史があります。1984年には、水俣病からの地域再生を目指して「アートによるまちづくり」が始まり(先ほどの金の裸体像も、その一貫として作られました)、その拠点として2001年に「つなぎ美術館」という町営の美術館が開館しました。
「アートによるまちづくり」といっても、町には漁業や農業を営まれている方が多く、そもそもアートに関心の高い方はあまりおられなかったそうです。
そこで、アートに興味があるかどうかは関係なく、地域活動に協力的な地元の方々に声をかけ、アーティストと住民が最初から共にプロジェクトを作り上げていけるような取り組みを続けてきました。
たとえば「赤崎水曜日郵便局」というアートプロジェクト。これは、廃校になった小学校を郵便局に見立て、何でもない日=水曜日の出来事を書いた手紙を全国から送ってもらい、シャッフルして送り返すプロジェクト。アーティストや映画監督とともに、漁師・会社員・主婦の方などが実行委員として活躍され、数々の賞も受賞されました。
2021年は、ちょうどつなぎ美術館が開館して20周年を迎える年でした。ご縁があって、TRAVEL UNAの3号で、町の取り組みを取材させていただくことになりました。
とても個人的な話ですが、当時、私はPTAや子供会など、強制的な地域活動への参加にぐったりしていたところでした(汗)。
つなぎ美術館がどうして地域の方(しかもアートに興味がない方が多いとのこと)とアーティストをうまく繋げて、こんなに素晴らしいプロジェクトを数々行っておられるのか?その秘密が知りたくて(そしてきっと、それは私だけでなく日本各地で地域の方々との協働事業の壁に直面されている方々のヒントにもなるかもしれないと思って)町の皆さんにお話を伺いました。
コロナ禍で様々な制約がある中、美術館の学芸員楠本智郎さん、美術館の運営をされている婦人会の皆様、レジデンス事業をきっかけに町に移住された日本画家の大平由香理さん、津奈木町役場の濱田真大さんなど、多くの方にご協力いただき(本当にありがとうございました!)記事は完成しました。ぜひ、TRAVEL UNA 3号(特別編集号)をお読みになってみてください。
町に何度も通っているうちに、忘れられない数々の場面と出会いました。美術館のベランダにハーブの鉢植えがあり、婦人会の皆さんが「この苗を町のみんなで増やして、柳先生の作品に使うんです」とおっしゃっていたこと。町役場の濱田さんが「シキがたつ」という言葉を教えてくださったこと。みんなで歩いたフットパス。旧赤崎小学校の見える海辺で、夕日を眺めたこと。食堂でいただいた鱧が美味しかったこと。
津奈木町民に毎月配られる町の広報誌には、町の行事などの連絡事項と並んで、美術館のアートプロジェクトの経過報告や、移住者の取り組みの様子が掲載されています。そんな町の丁寧な取り組みの積み重ねが、今の町を作り上げているんだなと感じます。
ぜひ、実際に町を訪れてみてください。あの時、町の皆さんがベランダで育てていたハーブを使った、現代美術作家 柳幸典さんの野外作品《入魂の魂》がついに完成し、6/19まで無料公開されています!(編集部:桜井)
TRAVEL UNA(トラベルユーナ) 第3号(特別編集号) 「さあ、九州のアートとクラフトの旅へ」
==
<おまけ>津奈木町ってどうやって行くの?
津奈木町への行き方、よく聞かれます。
例えば、私の住む福岡市内から行く方法は3つ。
①「新幹線」+「鉄道」
博多駅から九州新幹線で新水俣駅へ(約1時間)。
新水俣から肥薩おれんじ鉄道で津奈木駅へ(約5分。ただし鉄道の本数が少ないので要事前チェック)。
②「新幹線」+「レンタカーorタクシー」
博多駅から九州新幹線で新水俣駅へ(約1時間)。
その後、タクシーかレンタカーで津奈木の中心部まで約10分。
③「自家用車」
福岡市内から津奈木まで、自家用車だと約2時間半です。
運転できるけど長距離はちょっと厳しい、、という私は、いつも②の方法で行っています。
新水俣駅前にあるモーモーレンタカーさん、なんと12時間で約2500円+保険料と、かなりお得です。
美術館の運営を担う婦人会の皆さん
ベランダで育つハーブの苗
《入魂の魂》の模型。廃校になった小学校のプールが、作家の石牟礼道子さんの作品から着想を得た野外作品になっています。
Photo: Koichiro Fujimoto
旧赤崎小学校と夕日
つなぎ美術館。背後に聳えるのが町のシンボル「重盤岩(ちょうはんがん)」
鱧、牡蠣、フグ、太刀魚など季節ごとのシーフードも楽しみのひとつ。
新着記事
-
【夏休み特別企画】「色の学校」レクチャー&ワークショップ 開催されます!@福岡県広川町 -
【8/20(火)催行決定、参加者募集中!】唐津焼の俊英・健太郎窯(けんたろうがま) で 絵付け・薪窯作り・焼成 -
【開催レポート】八女中央大茶園を見下ろす絶景カフェで体験! 茶農家が教える美味しい八女茶の淹れ方講座&茶畑散策(福岡県八女市) -
【開催レポート】鹿児島産スパイスを使った オリジナル薬膳七味作り(鹿児島県 霧島市) -
【開催レポート】仏像彫刻ワークショップ「みんなで達仏をつくろう!」(熊本県 津奈木町) -
【開催レポート】台湾教育部 USR 四国ツアー -
2024年 ゴールデンウィーク 体験プログラム一覧 -
視察レポート 別府を別の角度から見る 竹工芸品と芸術品を巡るツアー -
【Oita Cultural Expo! ’24 】佐伯・臼杵・国東半島 3ツアーを販売開始! -
【メディア掲載】小日子、星濱山共創工作室 Zhengbin Art